こんにちは、ヨルです。
私は2019年に某大学で司書講習を受講し、無事修了して司書の資格を得ました。
司書講習は、出願時に作文が課されること、試験や演習が頻繁にあること、特に2ヶ月間みっちり授業があることなど、受講にあたって不安要素が多くなりがちです。
そこで今回は、私の実際の受講経験を基に、出願から修了までのポイントを説明していきます。
「受講したいけど、どんな様子なのかわからなくて不安…」という場合はぜひ読んでみてくださいね。
私が通った大学のことが中心なので、司書講習のイメージを掴む程度に参考にしてくださいね。
司書講習って何?
司書の資格を得るための方法のひとつです。
「大学に2年以上在学し62単位以上を修得している、または高等専門学校を卒業している」という受講条件さえ満たしていれば、在学・既卒、学部や専攻、年齢も不問なので、多くの人に門戸が開かれた資格取得方法であることが特徴です。
司書講習は、7~9月の2ヶ月間に集中的に開催されます。
短期間で13科目24単位を取得する必要があるため、基本的に日曜を除いて朝から晩までみっちり授業があります。
2020年現在、全国各地の6大学で開講しており、受講料150,000円前後、募集定員100~120名程度、某大学によれば倍率は2.5倍程度とされています。
もっと詳細な司書講習の説明や、その他の資格取得方法、司書の資格そのものについての解説は、別記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。
まずは出願
司書講習の初めから終わりまで、大まかな道筋は以下の通りです。
(月などはあくまで目安です)
①大学選び・出願(4~5月)
②合格した大学へ受講料の振り込み(6月)
③2ヶ月間講習を受講(7~9月)
④修了式(9月)
⑤講習の成績通知・修了証書の発行(11月)
ここからは、それぞれの項目のポイントについて説明します。
大学選びは無理のない範囲で
最初に、受講したい大学を選びます。
併願可能なので、近隣の大学をいくつかピックアップしてみましょう。
ここで、絶対受講したいからといって、通学が不可能なエリアの大学まで選ぶのはおすすめしません。
開講している大学は限られていますが、2ヶ月間朝から晩までみっちり通うことを考えると、可能な限り自宅から通えるところに出願するのがベストです。
長時間・長距離の通学やホテル暮らしは、体力的にも金銭的にも現実的ではありませんからね。
条件に合う大学がなければ、通信講座も検討してみましょう。
提出書類の準備は余裕を持って!
私は、幸いにも通える範囲に二つ大学があったので、両方に出願することにしました。
出願に必要な書類は、大学ごとに差がありますが、よく指定されているのは以下の4つです。
受講申込書
履歴書のようなものです。住所氏名や学歴・現在の仕事等を記入します。
写真の添付が必要になるので、指定の規格にあったものを用意しましょう。
受講資格の証明書
卒業証明書や成績証明書、勤務証明書など、自分の受講資格を証明できる書類を提出します。
既卒の場合は母校に出向いて発行してもらう書類があったり、勤務中の場合は勤務先に用意してもらう書類があったりと、時間がかかるものが多いので注意が必要です。
検定料振込領収書のコピー
出願書類の審査のために必要なお金を、あらかじめ振り込んでおく必要があります。
金融機関が指定されていたり、ATMは使用不可など、色々なケースがあります。
特に、出願締切がゴールデンウィーク明けの場合、直前になって慌てて振り込もうとすると金融機関がお休みということもあります。
余裕を持って振り込みを済ませておきましょう。
作文
司書講習の出願で一番ネックになるのが、この作文だと思います。
大人になると、自分の思いの丈や意見を文章に書き起こすという機会がなかなかないので、意外にここで時間を取られる人が多いようです。
作文のテーマは、出願動機について詳しく書かせるものや、司書講習で学びたいことを書く、図書館に関する時事ネタで自分の意見を書くものなど、大学によって様々です。
指定字数は多くありませんが(私は800字程度でした)、限られた字数内でまとめなければならないので、早いうちから構想を練っておくとよいでしょう。
以下は余談ですが、私の失敗経験を書いておきます。
字数を数えるためにワードで下書きをし、それを提出用紙に清書したところ、字数が収まりきらないということがありました。
提出用紙が原稿用紙のようにマス目状になっている場合、改行や字下げにより空白のマスができて、書けるマスが減っていくためです。
(便箋のように罫線のみが書かれているタイプは、この心配はありません。)
ワードは単純に文字数のみを数えているので、ここで実際の文字数と、提出用紙上の文字数に齟齬が生じたんですね。
私はかなり書き進めてからこの失敗に気づいたので、字数や提出用紙の形式は事前によく確認しましょう。
あらかじめ提出用紙のコピーを取って、収まりきるか試し書きしてみるのも有効です。
その他必要な書類
上記の他に、免除できる科目がある場合はそれを証明する書類、各種証明書の名前と現在の名前が違う場合は戸籍抄本なども必要です。
どちらも大学や役所に行って発行してもらう手間があるので、早めに確認し、手続きする時間を確保しておきましょう。
私は結婚してからの受講で、卒業証明書と姓が変わっていたため、本籍地の区役所まで戸籍抄本を取りに行かなければならず少し大変でした…
すべて揃ったら発送です。締切日の消印有効なのか必着なのか、そのあたりもよく確認しましょう。
ガイダンスに出席して、いよいよ講習スタート
待つこと数週間、6月に入ってから受講可否の通知が届きました。
結果は…どちらの大学も合格!
しかし、並行して両方の講義を受けることはできません。
朝から晩まで授業があることを考えればわかるとおり、同時に出席することは不可能ですからね。
併願する場合は、希望順位を決めておくと、複数受かった際にスムーズです。
受講しないことにした大学は、所定の手続きを取って辞退しましょう。
受講を決めた大学には、期日までに受講料を振り込みます。
これを忘れてしまうと、ここまでの苦労が水の泡になってしまいますので、早めに済ませるようにしましょう。
さて、合格通知から1ヶ月ほどした7月中旬、いよいよ司書講習のはじまりです。
開講に先立ち、大学に出向いてまずはガイダンスに出席します。
ここでは、各科目の概要や講習全体を通じた注意事項が説明されたり、出席確認に必要なIDカードが配布されたりしました。
また、ガイダンスの開始前には教科書の販売がありました。
ここで配布された資料(時間割や災害時の避難マニュアルなど)は大切なものが多いので、無くさないようにしましょう。
ガイダンス自体は2時間足らずだったので、終了後は、これから毎日通うことになる大学や、周辺の様子を見て回ってもいいですね。
実際の講習の様子は?
一番気になる点かと思いますが、講義内容は大学によって異なると思うので、私の経験をざっくりまとめます。
講義
前述のとおり、基本的に月~土曜日、朝(9時)から晩(18時)まで講義があります。
一つの科目を3日間かけて学習していく形で、8月下旬までは全員での座学が中心でした。
映像を見たり、グループワークをして発表したりする科目もあれば、朝から晩まで座って先生の話を聞いているだけの科目もあります。
中には絵本の読み聞かせ演習をする科目もあり、講義ごとに内容も大変さも違いがありました。
演習
8月下旬からは、クラスに細分化され、演習科目が行われます。
ひたすら本の目録を作ったり、インターネット上の様々なツールを使って情報検索を実践したり、図書館を駆け回ってレファレンスの練習をしたり…
座学の講義とは打って変わって、手と頭と足を動かす科目ばかりでした。
中には、時間内にグループワークが終わらず、残って作業した科目もありました笑
大変ですが、実際の仕事にかなり即した演習だと思うので、やりがいがあります。
選択科目
講習修了直前の一週間は、事前に選択してあった選択科目(2科目)でした。
各2日間で、15時くらいに終わることもあるので、ようやく修了目前という実感が出てきます。
私は「図書・図書館史」と「図書館情報資源特論」を選択しました。
大学図書館内の企画展を見に行ったり、和紙と刺繍糸でミニチュアの和綴本を作ったりと、お楽しみ科目的な印象が強かったです。
その他の選択科目では、以下のようなことをしたと聞いています。
●図書館サービス特論
図書館のバリアフリーを考えるためのハンディキャップ体験
●図書館施設論
図書館建築のパース図作成
●図書館基礎特論
国立国会図書館や附属中学・高校の図書館でフィールドワーク
それぞれ特徴があるので、シラバスをよく読んで、興味があるものを選択したいですね。
試験
前述のとおり、各科目は基本的に3日単位で学習しますが、最終日の最後に1時限プラス(19時まで)して試験が行われました。
筆記試験中心で、穴埋め形式や記述形式、作文など、形式は様々です。
ほとんどの科目で、資料の持ち込みが可能でした。
演習科目では、試験時間内にパソコンでパスファインダーを作成・出力して提出するというのもがあり、これが一番苦戦しました。
パスファインダーとは、あることについて調べるときに役立つ基本的な図書資料や情報源、その探し方などを紹介した資料のことです。
図書館職員が作成して、自由に見られるようになっているので、図書館に行ったら探してみてください。
中には、事前に発表されたテーマについて予めレポートを書き、科目最終日は提出するだけというパターンもあります。
どれも真面目に講義を受けていればできる試験なので、気楽に臨みましょう。
2ヶ月におよぶ講習の終わりと、結果通知
9月半ばの講義最終日、最後の時限が終わってから、自由参加の修了式がありました。
先生方からの講評や事務局からの連絡事項などで、1時間程度です。
リラックスしたムードが漂い、特にセレモニー的なものではありませんでした。
これでとうとう、2ヶ月に及ぶ司書講習をやり遂げたことになりますが、まだ安心はできません。
講習結果通知が届くまで、「修了」したかどうかはわからないのです。
さて、修了式から1ヶ月半ほど経った11月初旬、待ちに待った講習結果通知が届きました。
中身は…成績通知表と、修了証書です!
無事に修了できました~!!
私は大学既卒での受講なので、これを以って司書の資格を得たことになります。
成績通知表は、出席状況と試験結果を考慮して、各科目5段階で評価されていました。
ここで不合格の評価を取ってしまい、一つでも単位を落とすと、司書の資格は得られません。
不合格となった科目のみもう一度履修しないといけませんし、司書講習で履修するなら出願からやり直しなので、できるだけ一度で修了したいところです。
とはいえ、試験はほとんど持ち込み可ですし、よっぽど欠席が多くない限り、滅多に不合格にはならないと思いますが…
なにはともあれ、これで本当に司書講習が修了しました!お疲れ様でした!
その他、気になるポイント
補足として、ここまでの大まかな流れに入れられなかった、細かいポイントについて書いておきます。
人間関係
受講生は、現役大学生・仕事を辞めて参加した人・定年退職済みの人・現役図書館職員など様々でした。
年齢層は比較的高めで、社会人経験のある30~40代以上が多い印象があります。
そのせいか、講義中も休み時間も学生的なワイワイした感じがなく、各々が自由に過ごしている静かな雰囲気で居心地良かったです。
いい意味でビジネスライクな距離感というか。
近くの席の人とちょっと話したり、演習でグループワークをしたりすると、自然と顔見知り程度の関係はできてくるので、人間関係については心配いらないと思います。
休講期間と突発的な休講
日曜日以外朝から晩まで講義がある司書講習ですが、まとまった休みもあります。
8月中旬、お盆の頃に1週間ほど講義がない期間がありました。
ハメを外して遊びに行くのも良いですが、後半戦に向けてしっかり体を休めておくこともおすすめします笑
また、台風の影響で休講になったこともあったので、日々の講義情報は所定の方法で確認しておきましょう。
休み時間と昼食
講義と講義の間は10分、昼休みは50分ありました。
昼食は完全に自由で、買ってきたパンで済ませたり、お弁当を作ってきたりと様々です。
大学の付近は飲食店が多い傾向があるので、色々なお店に食べに行ったり、学食を使ってみるのも楽しいですね。
教室の温度
空調の都合で、とにかく教室の冷房が効きすぎて寒いくらいなので、羽織るものが必須でした。
教室の温度を考慮して、真夏なのにホット飲料を作って持参することも多かったです。
空調が原因で風邪を引いたら元も子もないので、調節できるよう上着を用意しておくと安心です。
普通のカーディガンだと冷気を通して寒いので、私はウィンドブレーカーを愛用していました。
まとめ
ここまで、私の司書講習受講経験を基に説明してきましたが、いかがだったでしょうか。
2ヶ月間学校に通ってみっちり勉強するというのは、社会に出たあとではなかなか経験できないことだし、体調管理等すごく大変ですが、同時にやりがいや達成が得られる貴重な体験になりました。
もちろん、大学によって全体の雰囲気や講義の内容は異なると思うので、あくまで参考程度にしてください。
もっと詳しく知りたい点や、説明が不十分な点等がありましたら、ぜひお問い合わせからお知らせくださいね。
本記事が、司書の資格に興味のある方や、司書講習の受講を検討している方の参考になれば幸いです。