こんにちは、ヨルです。
突然ですが、エドワード・ゴーリーという作家、ご存知ですか?
緻密なイラストで描かれる独特の世界観が特徴で、世界中に多くのファンがいるアメリカの絵本作家です。
ゴーリーの没後20年の節目として開催される本展覧会では、ゴシックでメランコリックな彼の作品をたっぷり堪能することができます。
エドワード・ゴーリーってどんな人?
前述のとおり、アメリカの絵本作家です。
2000年に逝去するまで、絵本を始め、本の表紙・挿絵イラストから舞台演出、ポスターやアニメーション制作など、幅広く活躍しました。
特に彼の絵本は、その独特な作風から、世界各国にファンがいます。
道徳や倫理観を鼻で笑うかのような皮肉たっぷりの内容、残酷で不条理に満ちた世界観。
本文には韻を踏んだ言語表現が多用され、不気味で不吉なストーリーの中にも深い寓意性が読み取れます。
細い線で緻密に描かれたモノクロのイラストは、それだけでも芸術性が高く、ゴーリー作品のミステリアスな魅力を引き立てます。
こういったダークな印象が強いためか、ゴーリーの絵本は「大人のための絵本」と称されます。
ゴーリーは、自身の名前をアナグラムにしたペンネームをいくつも持っていました。
それらを使い分けて自家版の作品を多数出版したことから、多くの熱狂的コレクターを生み出しています。
本展覧会は、そんなコレクターの一人であり、世界的に著名なゴーリーコレクターである濱中利信氏の膨大なコレクションの一部ということです。
濱中氏は日本初のゴーリー情報サイトを運営しており、大体の作品はここから確認できるため、興味のある方は覗いてみてください。
展覧会の見どころは?
緻密なイラストを至近距離で見ることができる
新橋と銀座の間くらいにあるビルの、地下2階がヴァニラ画廊です。
壁に大きく貼られたポスター。
私が行った日は雨で、階段の薄暗さと相まって、すでに雰囲気はバッチリ。
受付で、事前に買っておいたチケットのQRコードを読み取ってもらい、展示会場に入ります。
今回の展示の魅力は、なんといってもゴーリーの作品を至近距離から見られる点でしょう。
美術館などでは、作品との接触を避けるために一定距離にロープが張ってあり、近くで作品を見られないことがありますが、本展はそういった制約がありません。
つまり、ゴーリーの緻密なイラストの筆致を、自分の好きな距離から気の済むまで眺めることができるのです(もちろん触るのは禁止ですが)。
本当に細かく書き込みがしてあるので、虫眼鏡があると便利かもしれません。
展示されている作品も、ポスターを中心とした大きいサイズのものが多いため、細かい点まで観賞し甲斐があります。
会場は撮影禁止なので、残念ながら作品の写真は掲載できませんが、覚えている範囲で記載しておきます。
まずは『ドラキュラ』。ゴーリーが舞台装置と衣装をデザインし、アメリカ演劇界で最も権威がある賞とされている「トニー賞」を受賞した演劇の宣伝用ポスターです。
画廊の入り口に貼り出されていた展覧会のポスターも、ドラキュラのイラストでしたね。
続いて、ミステリドラマを放映するアメリカのテレビ番組『Mystery!』の宣伝用ポスター。
大きな樹の枝に番組の人気キャラクターである探偵達が立っている、番組10周年記念のポスターが印象的でした。
ゴーリーはこの番組のオープニングアニメやセットデザインも手掛けています。
『Signals series』は、Signals社が制作・販売した作品で、10種類すべてが展示されていました。
大きめサイズの一枚絵の中に不可思議な場面が描かれていて、端々に不穏な雰囲気が見え隠れする、ゴーリーらしい作品群です。
展示の中で、特に印象に残ったのが、『なおざりにされた女性殺人者シリーズ』です。
12人の架空の女性殺人者をポートレート風に紹介したポストカード集ですが、それぞれに付けられたキャプション(いつ、どこで、誰を、どのように殺したか)が淡々としてリアルで…
その手に持ってる斧は何?どうして車椅子が空なの?と、何気なく描かれている彼女たちの姿がとても不気味で恐ろしいものに見えてきます。
その他、仕掛け絵本や、ゴーリーが表紙と扉絵を手掛けた小説などなど。
最後に、『ギャシュリークラムのちびっ子たち』『うろんな客』を始めとする、ゴーリーの代表的な絵本たちが展示されていました。
私とゴーリーの出会いは、高校の図書室にあった絵本『おぞましい二人』を読んだことがきっかけでした。
高校生にもなってこの絵本の内容がトラウマになったことを覚えています(笑)
物販が大充実
ゴーリー作品をたっぷり堪能したあとは、物販もチェックしましょう。
本展覧会は、アメリカのエドワード・ゴーリーハウスの協力により、ポップアップショップが展開されています。
絵本はもちろん、トートバッグやピンバッジ、マグカップやメモ帳のほか、ゴーリーが特集された過去の雑誌や、缶バッジガチャなどもありました。
私は記念に『ファントッド・パック』を購入。
1995年にゴーリーが限定で制作したタロットカードの復刻版です。
Fantodとは「不安で落ち着かない状態」のことで、Fantod Packは日本語で「不安な箱」と訳されています。
ゴーリーがデザインしたこちらは、20枚全てに不安を煽るイラストとメッセージが付いた前代未聞の占いカードです。
同梱のオリジナル解説書(全編英語)も、ゴーリーらしい皮肉たっぷりの内容で楽しめます。
他にも、普段なかなか手に入らないゴーリーグッズがたくさん取り揃えられているので、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
ちなみに、ヴァニラ画廊のウェブストアでもポップアップショップが展開中ですので、遠方で見に行けない!という場合はチェックしてみましょう。
チケットは事前購入制
普段は当日に入口で観覧料を払えばOKなヴァニラ画廊ですが、昨今の新型コロナウィルスの影響により、本展覧会は完全チケット制となっています。
時間ごとに定員があり、展覧会・物販含め1時間で全員入れ替えというシステムです。
当日券はなく、事前にチケットを購入しておかないと観覧できないので、注意しましょう。
また、感染拡大予防の点から、早めに着いても画廊やビル周辺で待つことはできないそうなので、時間ぴったりか少し遅めに行くことをおすすめします。
マスクの着用も忘れずに!
まとめ
エドワード・ゴーリーの世界展3、いかがでしたか?
生前、本当にたくさんの作品を残したゴーリーですが、この展覧会では結構ニッチな作品も鑑賞することができました。
ゴーリー関係の展覧会は結構見に行っているつもりですが、今回初めて見る作品もいくつかあって、テンション上がりました!
とはいえ、ポスターから本の挿絵、代表作の絵本まで、コンパクトながらゴーリーの仕事に広く触れられる構成になっていたので、初めてゴーリー作品を見るという方でも気軽に楽しめると思います。
気になったらぜひチェックしてみてくださいね!