こんにちは!2019年に司書講習を受講したヨルです。
本が好きなら一度は憧れる資格、司書。
最近では小説やアニメの題材にされることも多く、知名度が上がってきたように思います。
図書館や学校で司書として働くためには資格を要求されることが多いですが、具体的にどのような方法をとれば司書の資格を取得できるのでしょうか。
今回は、実際に司書講習を受講した経験を踏まえ、司書という資格の概要や取得方法などを紹介します。
司書講習の受講体験記は別記事にまとめてありますので、司書講習に興味がある場合は、こちらも併せて読んでみてください!
そもそも司書ってどんな資格?
図書館法に根拠をもつ専門的な資格
司書は、図書館法によりその役割が定義されている国家資格です。
主に公立図書館や私立図書館、小~高校の学校図書館などで、専門職として働いています。
司書の仕事は、カウンターでの貸出業務が身近ですが、他にも
など多岐にわたります。
司書の資格がなくても図書館に勤務することは可能ですが、就職の際に有資格者が優遇されたり、資格の有無で給与等の待遇に差が出ることがあります。
なにより、しっかり勉強して身につけた専門知識の有無は、図書館で働く上で大きなアドバンテージになるので、図書館勤務を目指すなら資格を取得するのが望ましいでしょう。
司書は、古代ローマや古代中国にまで歴史が遡れるほど、古くからある仕事なんですよ。
資格の取得方法は?
司書の資格を取得するには、以下の3つの方法があります。
①司書講習を修了する
司書講習は、毎年7~9月にかけて夏期集中で実施されています。
次項以降でこの講習について詳しく説明するので、ここでの説明は割愛します。
②大学で資格取得に必要な科目を履修する
大学や短大に入学し、司書資格取得に必要な科目を履修した上で、卒業と同時に資格を得る方法です。
2019年4月1日現在、4年制大学148校・短期大学51校の計199校(通信課程含む)で開講されています。
普通の授業と同じ扱いなので、毎週○曜日の○時限目に授業がある、といった具合です。
在学中の場合は、通常授業の時間割とうまく組み合わせながら、4年かけて計画的に科目を履修して資格取得を目指すのが、一番効率的ではないかと思います。
大学を卒業済みだったり、通っている大学で必要な科目が開講していない場合は、通信や夜間、科目履修などで単位を取得することができます。
特に通信は、スクーリングが不要な学校もあり、「社会人でも司書資格に挑戦したい!」という場合におすすめですよ。
③3年以上司書補として勤務したうえで司書講習を修了する
司書補として3年以上仕事をした人に限り、①の司書講習を修了することで資格を得る方法です。
前提として司書補の資格があること、さらに図書館での勤務経験も要求されるので、この方法で司書を目指すことができる方は限られていると思います。
条件を満たしている人はこの方法が最短ですが、それ以外の場合は、①か②の方法を取るのがよいでしょう。
【補足】司書の周辺資格「司書補」「司書教諭」について
ここまで『司書補』という言葉が出てきましたが、「司書と何が違うの?」と思っている方もいるかもしれません。
また、『司書教諭』という紛らわしい名前の資格も存在します。
ここでは、混同しやすいそれぞれの資格について、補足しておきます。
司書補とは
司書と名前が似ていますが、「補」の字が表すとおり、司書の仕事を助けるのが主な仕事と定められています(図書館法第4条3項)。
司書は、先述の通り、図書館と資料に関わるあらゆる専門的な仕事を行いますが、司書補はそういった司書の専門的職務を助ける役割なんですね。
また、資格取得に臨むための条件も異なります。
司書は大学または高等専門学校卒業が条件なのに対し、司書補は高校か中学卒業または高等専門学校3年生修了が条件です。
この条件を満たしていれば、7~9月に実施される司書補の夏期集中講習を修了することで、司書補の資格を得られます。
「学歴の都合で司書の資格が取れない!」という場合でも、まずは司書補を取得→司書補として3年以上勤務→司書講習を受講、というように、ステップアップしながら司書を目指すことができますね。
司書教諭とは
小~高校の学校図書館で専門的職務を行う「教員」として、学校図書館法に設置が義務付けられています。
司書教諭は、教諭として採用された者が学校内の役割としてその職務を担当し、学校図書館資料の選択・収集・提供や子どもの読書活動に対する指導、さらには、学校図書館の利用指導計画を立案し、実施の中心となるなど、学校図書館の運営・活用について中心的な役割を担います。
出典:文部科学省 司書教諭 よくある質問集
教員扱いというのがポイントです。
つまり、司書教諭になるには、司書の資格に加えて教員免許が必要になります。
教職を志していたり、すでに免許を持っている場合は検討の余地がありますが、その他の場合は教員免許の取得からしないといけないので、ハードルは高そうです。
ちなみに、教員ではなく事務職として採用された人が学校図書館で働く場合は、単に「学校司書」と呼ばれます。
司書講習について具体的に知りたい!
ここからは、司書を目指す上で検討する機会が最も多く、私自身も受講した司書講習について、具体的なポイントを説明します。
夏期に集中して実施
前述のとおり、司書講習はだいたい7月~9月にかけて、ちょうど大学の夏休み期間を利用して集中的に実施されます。
大学に通って講義に参加する形式なので、束の間の学生生活、と思いきや…
2ヶ月で必要な単位を取らなければならないため、基本的に月~土曜日、1時限目(9時頃)~5時限目(18時頃)までみっちり授業があります。
社会人経験がある場合は、普段の勤務時間と大差ないので苦にならないかもしれませんが、遅番中心の仕事の場合や大学生は、慣れるまでつらいかもしれません。
出席率も各科目の評価対象になり、時限ごとに配布物があったりするので、欠席しないよう体調やスケジュール管理が重要になってきます。
正直、体調管理面が精神的にも肉体的にも一番大変でした。
暑いし、通勤・帰宅ラッシュは辛いし、慣れない環境だし…いつ風邪を引くかヒヤヒヤでした(笑)
大学や通信課程などで単位を取ろうとすると、だいたい半年~4年かかります。
取らなければならない単位数は同じなので、参加が可能であれば、司書講習で2ヶ月集中して資格をとったほうが、時間的な効率は良いと言えるでしょう。
受講資格は二種類
司書講習を受けるための資格は2種類あります。
どちらかに当てはまっていれば、司書講習を受講することができます。
一つ目は、大学に2年以上在学し62単位以上を修得している、または高等専門学校を卒業していることです。
この条件さえ満たしていれば、在学・既卒、学部や専攻、年齢も不問なので、受講ハードルはかなり低いと言えます。
ただし、講習を修了しても大学を卒業しないと資格が成立しないので、在学中であれば卒業と同時に、既卒であれば講習終了時に資格成立となります。
二つ目は、司書補として2年以上働いていることです。
こちらの場合は、講習終了後、司書補としての勤務年数が3年以上になれば資格成立となります。
13科目で24単位の取得が必要
図書館法施行規則で定められている、資格取得に必要な科目は以下のとおりです。
必修11科目・選択2科目で合計24単位取得することで、司書の資格を得ることができます。
選択科目は、出願の時点で希望する科目を選ぶパターンや、受講許可後に選ぶパターンがあります。
また、「既卒だけど、在学中に司書関連の科目を取ったことがある」という場合には、証明書を提出すれば免除できる科目がある場合があります。
大学によって微妙に科目名が違ったり、選択科目のうち実習がないケースもあります。
開講している大学・受講料
司書講習は、2020年現在、全国各地の6大学で開講されています。
実施大学や期間・問い合わせ先等は、毎年3月下旬~4月上旬に官報に掲載される他、各大学のホームページでも確認できます。
募集定員は100~120名程度、某大学によれば倍率は2.5倍程度とされています。
出願締切はゴールデンウィーク明けから5月末に設定している大学が多く、複数の大学を併願することも可能です。
※新型コロナウィルスの関係で、司書講習が中止となっている大学が多くあります。
下記より最新情報をご確認ください。
受講料は、大学によって多少差があるものの、だいたい150,000円前後です。
この他、出願時の検定料や教科書購入代等で~10,000円程度かかります。
また、前述の科目免除等により、科目毎に受講料を払って部分受講することもできます。
なお、大学によっては、厚労省の教育訓練給付制度の対象となっている場合があります。
これは、受給資格を満たせば、手続きを行うことにより受講料の20%がハローワークより支給される制度です。
各大学の募集要項に記載がある他、以下のリンクから検索・制度の概要を見ることできます。
まとめ
ここまで、司書資格の概要や取得方法について説明してきましたが、いかがだったでしょうか。
もっと詳しく知りたい点や、説明が不十分な点等がありましたら、ぜひお問い合わせからお知らせくださいね。
本記事が、司書の資格に興味のある方や、司書講習の受講を検討している方の参考になれば幸いです。